2018年 年度賞
総評 山ア 友也
総評 山ア 友也
確認しておきますが、
“年度賞”への応募作品は、
その年に自分が撮ったなかで
もっとも優れている写真
ということですよね?
いつも思うことですが、
その割にはレベルが低すぎます。
提出しなければならないから
とりあえず適当に撮って出そうとか、
過去に撮ったものでお茶を
濁そうとか思っている人は、
むしろ提出しないでください。
真剣に考えて活動している
他の会員にも失礼ですから。
和気あいあいと楽しくやるのは
良いことだと思いますが、
締めるときは締めないと、
ただのお遊びクラブになってしまいます。
というわけで今回は
もっと席次の枠があったのですが、
力みなぎる作品を
6点だけ選ばせていただきました。。
最優秀賞
「春のきざし」 山川健一
どっぷりと日が暮れてからの撮影のため、
あたりは真っ暗です。
そこへストロボを使用して、
しだれ桜を浮き上がらせています。
奥にある踏切はぼけていますが
それとなく分かり、
大きさ、位置ともに抜群の配置です。
あえて列車の光跡も入れなかったことで
スッキリとした明暗になり、
桜もより目立つことになりました。
第一席
「METAL LINE」 市川健一郎
まだ屋根が取り付けられていない
建設中の駅のようすです。
逆光で捉えた骨組みとレールが光り、
金属の質感と直線的な模様が
よく表現されています。
電車も小さく顔だけ入れてあるのみなので、
存在感も薄れて良かったと思います。
第二席
「空中のイルミネーション」 新田和仁
良くみる新宿のイルミネーションですが、
ガラスに反射させたことで
立体的な空間のように思えます。
そこに人を被らせたことで異次元の、
まるで宙に浮いているような
効果が現れました。
奥に反射している店の看板が
現実味を覚えさせるので、
カットした方がより不思議さが
増したでしょう。
第三席
「静寂」 野村一也
普通の風景写真としても
このような雲は魅力ですが、
湖面の反射として切り取ることで
作品性がグンと出ました。
本来ならもう少し彩度を強めて
色鮮やかに表現したいところですが、
あえて抑えたことで渋さが増しています。
画面左下に湖の底の石が
写っているのがポイントですね。
第四席
「細雪の夜」 寺倉篤史
この並走は、なかなか
流し撮り、反射、スローシンクロなど、
さまざまなテクニックと表現方法を駆使した、
なかなか粋な作品です。
発想力が素晴らしかったです。
背景が真っ黒なので、
まるで宇宙を旅する
銀河鉄道のような効果が出て、
大変ロマンチックな絵に仕上がっています。
第五席
「夕陽」 木村正一
夕陽によって生み出された
オレンジ一色の世界観。
トラス橋の質感が出る
この上ないタイミングで
列車とともに捉えられています。
もう数分狂うと、
このきらびやかさは
表現できなかったでしょう。
写真の持つ一瞬の大切さを
見事に写し込めた一枚です。