2020年01月24日

2019年秋撮影会 「ひたちなか海浜鉄道・真岡鐵道」


2019年秋撮影会
 「ひたちなか海浜鉄道・真岡鐵道
5月23日(土)、24日(日)


総評:山崎 友也

2日間とも大雨で、撮影条件としては最悪でした。
ただ、何度も言っているように、
このような状況の方が秀作が生まれやすく、
かつ個性が出やすいものです。
今回もその理論が証明されたと思います。

雨ならではの光景、
雨でなければ撮れないカットが目を惹き、
やはりそのどれもが個性的で優れていました。






第一席 「ほの暗い道の先に
固山 敏行

01固山敏行.jpg

雨で濡れてしっとりとした植物に覆われた、
トンネルのような細い路。
その先にふと顔を覗かせる踏切を通過していくツートン列車。
構図も露出もシャッターチャンスも列車の大きさも、
すべてが計算尽くされて撮られた傑作で、見事のひと言です。





第二席 「熱情
西住 美穂

02西住美穂.jpg

鮮烈ともいえる赤色で覆われ、
列車が走っている動感もあり、
作品としてはこちらが最もインパクトがありました。
WBや構図などには多くの問題点がありますが、
「写真」ではなく「作品」という面で、
技術や理論ではなく感性で撮られた、
素晴らしい一枚だと思います。





第三席 「雨の日の憂鬱
野村 一也

03野村一也.jpg

「列車に乗っている人のゆううつさが出るイメージで」
というコメントがありましたが、それを知らずとも、
そのような意図が伝わってきます。
色合いもそうですし、
紙にもこだわってプリントアウトしたあたりに、
作者の表現者としての意志を感じます。






第四席 「雨あがりのひととき
村田 秀人

04村田秀人.jpg

雨粒にまとわれたセイタカワダチソウが、
宵の頃の独特の雰囲気のなかでたたずんでいます。
ただしメインとなっている草の先端が切れているのが残念です。
その奥を走る列車の赤いテールランプが
色の対比となり非常に印象的なだけに、惜しかったです。





第五席 「色彩モノクローム
寺倉 篤史


05寺倉篤史.jpg

ホームに溜まった水たまりに、
駅員が映り込んだシーンをうまく捉えました。
作者は作品として写真の天地を逆さまにしていますが、
むしろ個人的には撮った状態のままの方が良かったと思います。
足の切り方なども絶妙だっただけに、もったいない限りです。




posted by CPCれいるうぇいず at 15:07| 日記

2019年第6回例会(12/8実施)入席作品【テーマ:こども】


テーマ : こども

総評 山ア 友也

 テーマに対して提出された作品に講評をしていますが、
毎回それっきりで終わっていました。
そのため今回は復習や再撮の機会をつくるべく、
あえて前回と同じテーマを出してみました。

 やはり前回よりも「こども」との距離感が縮まり、
レベルもアップしたのは良かったと思います。
が、そもそもどうしてこのテーマを選んだかという趣旨を
理解していない作品も多く、
写真的には良いものもあっただけに、
惜しい気もしています。

 




第一席 溝渕 博

01溝渕博.jpg

前回のディフェンディングチャンピオンが、
見事防衛に成功です。
しかも今回、よりパワーアップした作品に仕上がっています。
光線状態も夕方の感じが良く出ていますし、
スローシャッターでこどもたちの動きをブラして
動感も表現しています。
大変素晴らしい写真だと思います。





第二席 山川 健一

02やまかわ.jpg

構図に難があるのですが、
こどものふとした自然な表情がなんともいえず、
セレクトしました。
この距離での撮影はこどもがこちらやカメラを意識してしまい
撮りづらいのですが、その裏にある、
素を引き出した会話力や振るまいを評価します。





第三席 佐藤 新一郎

03さとうしんいちろう.jpg

親御さんに必死に手を振ってアピールするようすを、
スローシャッターで捉えたまでは良かったです。
ただしそうであるなら手の平が
もう少しちゃんと見えているカットを選ぶべきでした。
構図も良く表情も最高だっただけに、
ちょっと惜しかったですね。






第四席 森元 容梨子

04森元容梨子.jpg

かなりのローアングルと水平をずらした大胆なカメラアングルが
他を圧倒していますね。
ただこの子の表情から察すると、
まだまだ心は掴めていません。
親御さんらがいたから撮れたのだと思います。





第五席 山内 真弓

05山内真弓.jpg

おそらくお母さんのすぐ横の位置から
撮られているかと思いますが、
突然のよそ者の登場にも
ナチュラルなしぐさが出ているということは、
作者がこの親子となじめている証拠です。
振っている右手をブラせば動感も出ましたし、
ニコパチでも良かったですね。






第五席 佐藤 理

06佐藤理.jpg

SLに対するこの子の気持ちが
非常に分かりやすく撮れています。
が、彼と同じ方向を見ていない右下の子は不要でした。
カットしてSLをもう少し入れれば、
日の丸構図も防げたと思います。


posted by CPCれいるうぇいず at 14:53| 日記

2019年10月05日

2019年第4回例会(8/10実施)入席作品【テーマ:こども】


テーマ : こども

総評 山ア 友也

 走っている車両の写真は、ある意味、誰でも撮れます。
しかし、スナップ、しかも「こども」を撮るということになると、
その人の手腕や感性、そして度胸が試されます。

 今回みなさんの作品をみて、
度胸の部分の弱さが露呈されましたね。
子どもとあらゆる意味で同目線にならないと、
このテーマを克服するのは難しいでしょう。
 あと席次ですが、写真自体はよいのですが、
諸事情で上位に選べない作品も多く、
その点では歯がゆい思いをいたしました。

 




第一席 溝渕 博

01溝渕博.jpg

やはり目につくのは、真ん中にいる南海のTシャツを着た坊やです。
手のしぐさや立ち方などから、
両隣にいる子たちとは列車に対する関心度が違います。
あと面白いのはこの子、本当に列車を見ているのでしょうか!?
その面白さもこの作品のポイントですね。





第二席 西住 美穂

02西住美穂.jpg


写真的にはこちらの作品はかなり良いのですが、
当クラブの席次決定の基準はプリントなので、
二席とさせていただきました。
評価のためにWEBに作品をアップする際など、
ほかにも不手際などが多いのは、
公正を期す上でも直してもらわないとなりません。





第三席 佐藤 理

03佐藤理.jpg


ボクちゃんが電車に手を振っている微笑ましいようすを
シルエットにすることで、
楽しさや期待感を芸術的に表現しています。
両手もしっかりと見えているので、
タイミングもバッチリでした。
ただ、黄色い線の内側にボクちゃんが立っているのが致命傷でした。
世知辛くなった世の中を恨むしかありません。






第四席 森元 容梨子

04森元容梨子.jpg

子どもたちの表情が見えなくても鉄道に対して
ワクワクしているようすが手に取るように分かるので、
とても良い作品です。
特に左の子の右手が効いています。
センターに線路を置いた構図も素晴らしかったのですが、
この子たち二人とも他人でしたら最高でした。





第五席 山内 真弓

05山内真弓.jpg

鉄道員の表情が笑顔で大変ほっこりする
ハイタッチの場面なのですが、
なぜかそれが伝わってきません。
それは画面左の、子どもと手をつないでいる
お母さんのポージングです。
お母さんの身体をカットして手の先あたりのみ入れていれば、
そのようなことはなかったと思います。






posted by CPCれいるうぇいず at 09:14| 日記

2019年08月09日

2019年春撮影会 「東武スカイツリーライン・亀戸線」


2019年春撮影会
 「東武スカイツリーライン・亀戸線」
5月19日(土)


総評:山崎 友也

今回は前半はスナップ、
後半は風景がメインとなるような撮影場所だっただけに、
似かよった作品が多くなってしまいました。
そのなかで自己の感性をアピールした人たちが、
選出された印象です。
ただしもう少しイメージよりの作品があっても
良かったような木がしています。






第一席 「お先にパチリ」
佐藤 新一郎

01佐藤新一郎.jpg

スナップを撮るときに、常々
「第三者や傍観者になるな」
と言ってきました。
ただその場面を外野から撮るのではなく、
自分もそこに加わらないと臨場感ある写真は撮れません。
その観点からいうと、
こちらの作品は見物客ではなく、
祭りに参加している人の目線から撮られています。
列車もお神輿色で華やかさを増してくれました。





第二席 「タイムトンネル
野村 一也

02野村一也.jpg

暗く狭いガード下のようすが、よく再現されています。
列車をブラして動感を表したのは正解でした。
加えて手前のシルエットの人物がいたことで、
奥の踏切との距離感も生じているうえ、
背景を傍観しているような、
なにかキーパンソン的な役割も果たしています。





第三席 「武骨
森元 容梨子

03森元容梨子.jpg

ガードの裏側の幾何学模様を画面いっぱいに配置した大胆な構図です。
しかもわずかなハイライトをうまく活かし
金属に質感も感じられます。
もしかすると列車は普通ではなく、
特急などであれば、
もっと鉄道の存在感が出ていたかも知れません。






第四席 「ダッ〜シュ!!
征矢野 毅彦

04征矢野毅彦.jpg

列車が過ぎ去って踏切を渡る少年を、
絶妙なタイミング、
そして完璧な対角構図で捉えられています。
他の通行人や自動車などもあることでしょうから、
あらかじめこのような絵柄を思い描き、
じっくり待った成果だと思います。
粘り勝ちでしたね。






第五席 「水陸競演
牧野 英和


05牧野英和.jpg

遊覧船の「ヒミコ」と特急「りょうもう」のコラボ、
狙っていて撮れるものではありません。
さぞ嬉しかったことでしょう。
ただ焦ってしまったのか、
水平が出ていないのが残念でした。
あと列車の先頭部がもう少し右の、
すっきりと顔が見えているカットが良かったです。





posted by CPCれいるうぇいず at 15:31| 日記

2019年06月26日

2019年第3回例会(6/9実施)入席作品【テーマ:F4,105mm】


テーマ : F4,105mm

総評 山ア 友也

 もっと前ボケ写真が多いかと思っていましたが、
皆さんもそう思ったのか意外と少なかったので、
写真のバリエーションがたくさんあり良かったです。
焦点距離だけではなく
絞りの制限もあったので苦労したでしょうが、
近年では一番レベルの高い課題作品でした。

 




第一席 固山 敏行

01固山敏行.jpg

穴から覗き、あえて日の丸写真にするとは、考えましたね。
単なる風景だけではなく、
やはり人を入れたところが良く、
のどかな昼下がりの車庫のようすを
のぞき見している感覚になります。
穴の周りの微妙なボケもF4らしさを出しています。





第二席 森元 容梨子

02森元容梨子.jpg


距離の異なるものがいろいろ写っているせいか、
105mmという焦点距離より
もっと望遠レンズで撮ったように思えますね。
若干車両をブラしたところと、
車両の色がガラスやベンチなどに反射して
赤味を帯びているのも良かったです。






第三席 野村 一也

03野村一也.jpg


猿の像の表情がなんともユーモラスですね。
人も入っていて良いのですが、
ちょっと列車がボケすぎなのと、
もう少し下から狙って地面の割合を薄くして、
猿の顔ももっと画面の上に持ってきたかったです。
像ももう少し下を入れたかったですね。






第四席 高橋 信行

04高橋信行.jpg

こちらの作品も望遠の効果がより出ているように感じます。
駅員の肩に前照灯が反射して
ラインライトを作っているのも印象的です。
貨車の作業員もなんとなくギリギリ分かりますが、
もう少し近づいてきたときに撮っても良かったかも知れません。





第五席 征矢野 毅彦

05征矢野毅彦.jpg

ギリギリまで花によって画面全体を黄色く埋め尽くしました。
ハイキーなトーンも爽やかです。
前ボケの写真の中では
こちらの作品が一番でしたが、
ちょっと列車が大きく、
見せている場所も中途半端なのが惜しいところでした。







第六席 福田 光昭

06福田光昭.jpg

菜の花で列車を包み込むようにした画面配置はとても良かったです。
ですが、道路やガードレールは絶対に
見せてはいけませんでした。
これらが隠れる位置を探して撮れば、
間違いなく一席に選んでいたと思います。






posted by CPCれいるうぇいず at 14:51| 日記

2019年06月08日

2019年第2回例会(4/13実施)入席作品【テーマ:空】


テーマ : 空

総評 山ア 友也

 「空」というテーマでしたが、
ただカメラを上に向けて撮ったものが
非常に多かったです。
そのうえ桜や太陽など、
違うものがテーマとなっている作品も
たくさんありました。
もっとストレートに空を捉えれば
良かったと思います。
 そんななか、希な自然現象を
絶妙なタイミングで撮影したものが、
やはりドラマチックに仕上がっていました。

 




第一席 窪田 稔

01窪田稔.jpg

夜に空から降り注ぐ雨粒が、
距離によって大小さまざまに写っていることから、
空の奥行きと広がりを感じさせてくれます。
レンズについた水滴が警報機の光を反射させ、
幻想的な雰囲気を醸しだしています。
全体的に黒いなか、
この赤色が非常にインパクトを与えてくれました。





第二席 佐藤 新一郎

02佐藤新一郎.jpg

まるで夏の夕方のような印象深い一枚です。
このような雲は狙って撮れるものではないので、
この場所にいたこと、
そしてカメラを持っていたことがなによりでした。
列車に太陽が反射していたことも、
他の、雲をメインに撮った作品とは異なる点でした。






第三席 佐藤 理

03佐藤理.jpg

風景をメインにしたものが多かったなか、
スナップ的なこちらの作品は
ひときわ異彩を放っていました。
あえて空を副題のように捉えた表現は見事です。
煙室のドアが開き、
そこからも空が覗けるところに、
なにかはかなさやわびしさのようなものを感じました。





第四席 固山 敏行

04固山敏行.jpg

虹という自然現象はいつまでも続くものではなく、
あっという間に終わってしまいます。
虹が出そうなタイミングは分かるのですが、
それをきちんと捉えようとすると
なかなか難しいものです。
また列車がたくさん絡んでいることからも、
運も味方につけました。





第五席 市川 健一郎

05市川健一郎.jpg

夕暮れ空にたなびく雲を横位置で狙い、
広がりを出しました。
が、やはりテーマが「空」ですので、
左の植物は不要でした。
そしてここは広がりよりも、
縦位置で空の面積と割合を極端に多くすれば、
より空のグラデーションも表現できて
良かったでしょう。






第六席 野村 一也

06野村一也.jpg

晴れや夕暮れ時の美しい情景が多かったですが、
こちらはどんよりとしたおどろおどろしい空を、
ホームをシンメトリーとして写しとりました。
朝の日の出頃のイメージは表現できていますが、
テーマからするとちょっと他の要素が
入り込みすぎたかも知れません。






posted by CPCれいるうぇいず at 21:33| 日記