2020年 年度賞
総評 山ア 友也
その年に撮れた最高の写真でエントリーしてもらいたい年度賞ですが、
相変わらず付け焼き刃で撮影した作品が多いことが気になります。
ただ全体的にイメージとスナップが多く、
なかでも特に光りと影をテーマにした作品が多かったことは、
当会の目指す方向性にあっているので、
更なるブラッシュアップを望みます。
最優秀賞
「電光石火の如く」 牧野英和
霧が立ちこめるぼんやりとした景色のなか、
影が連なる先にみえるヘッドライトが
列車の存在感を表しているこの作品。
ポイントは2つあります。
まず列車を止めて撮るのではなくブラしたこと。
これでよりいっそう霧のイメージや幻想感が高まりました。
もうひとつはフレーミングです。
水面すれすれから撮影したことで遠近感が生まれ、
迫力もともないました。
まさに年度賞にふさわしい
素晴らしい一枚だと思います。
第一席
「迫りくる」 窪田稔
撮影地に立ち、被写体と対峙したとき、
あえて無理やり普通とは違う撮り方をする必要はありません。
しかしまだ他に何か撮れるアングルやレンズワーク、
手法などがないだろうかと考えることを
必ずやって欲しいと思います。
その状況で作者はズーミングを施しました。
結果はご覧の通りです。
特に画面右側の曲がった木が
効果的なアンバランスさを生んでいることから、
立ち位置も良かったです。
第二席
「スポットライトをあびて」 市川健一郎
露出を切りつめローキーにしたことで、
光りがある部分のみが画面のなかで浮かび上がっています。
それに加えて低い位置からのアングルもさることながら、
日傘の赤がこの作品のポイントです。
場面に応じ、作画に的確な人が来るまで
待った努力が報われましたね。
第三席
「寒桜」 片岡直之
絵はがきのようないわゆる鉄道風景写真は
一般的には人気がありますが、
当会はそれを目標とはしていません。
それだけでは個性がないとボクが思っているからです。
ただこちらの作品は違います。
決して美しい風景写真ではありませんが、
作者の意志が強く表れた個性的な一枚だと思います。
第四席
「信頼」 野村一也
駅員と乗務員との信頼関係が垣間見られる
絶妙なシーンを上手く捉えました。
人と鉄道の関わりを強く感じます。
フレーミング等も良いですが、
更なる作品としての高まりを求めるのであれば、
彼ら2人がお互いの目を
見つめあっている場面を逃さないことでしょう。
第五席
「秋陽」 木村正一
列車を撮りに行ったとき、
車両そのものではなく
光りを浴びている落ち葉を気に留め、
それを主題にしようと思った感性は大変素敵なことです。
それだけではなく、
それと分かるよう必要最小限の部分で
車両を表現したことも粋な計らいで、
作者のセンスの良さと高さが見受けられます。
第六席
「ライトニング・シャワー」 固山敏行
太陽と影を対角線上に配した構図、
列車のブラし、ゴミによる玉ボケ、
どれをとっても考え抜かれ、
さらにひらめきも加えた秀作です。
敢えての辛口ですが、
ならばNDフィルターを加えて手前ピントで奥をボカせば、
遠近感+大きく柔らかい玉ボケとなり、
至極の一枚となったでしょう。
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posted by CPCれいるうぇいず at 00:00|
日記