2020年10月01日

2020年 秋リモート撮影会テーマ「美」

2020年秋リモート撮影会
「テーマ・美
10月11日(土)


総評:山崎 友也

「美」という意識は
みなさんそれぞれで違うでしょうし、
鉄道を介してというと、まさにそれは千差万別。
ということは、写っている美しさではなく、
個々がそう思ったことをどのように表現するかということがポイントでした。
つまりそこには単なる思いだけではなく、
構図、露出、ピント、レンズワークなど写真の基礎的な技術が、
撮り手の感性とマッチしないと厳しかったかと思います。





第一席 「滅びの美学
固山 敏行

美、@滅びの美学 固山敏行.jpg

草木に覆われて朽ち滅んでいく車両の姿を

「美」と捉えたセンスは、なかなかのものです。

しかもあえてモノクロにすることによって、

色に左右されずに

その状況がストレートに伝わってきます。

時間的な流れや自然の摂理など、

さまざまな要素も垣間見られる秀作です。







第二席 「ビーナスライン
福田光昭
美 Aビーナスライン福田光昭.jpg

写っている車両を
ビーナスに見立ててのタイトルでしょうか。
確かに画面左側の、
ホームの蛍光灯を反射した曲線が、
どことなく女性らしさを感じさせます。
そのハイライトがこの作品のキーになっているので、
画面右上にあるホームの蛍光灯は、
入れない方が良かったでしょう。




第三席 「質感
森元容梨子
美B質感 森元容梨子.png

やや露出を切りつめて
モノトーンの表現にしたことと、
なによりも、この切り取り方が絶妙でしたね。
画面の上部にわずかにハイライトを入れることで、
旧型客車の雰囲気が出ています。
おかげでモケットの肌触り良さそうな質感や
立体感が見事に表現されています。




第四席 「造形美」
片岡直之

美C造形美 片岡直之.jpg

写真は撮りたいものを画面に加えていくのではなく、
削っていくものです。

それに則ったこちらの作品も、

構図力がものを言いました。

また車両外観は金属やガラスなどで冷たく写ってしまいますが、

赤い車両の色やランプのおかげで硬いイメージが和らぎ、

「美」を意識させてくれました。



posted by CPCれいるうぇいず at 09:39| 日記

2020年01月24日

2019年 年度賞 入賞・入席作品


2019年 年度賞
総評 山ア 友也


ここ何年か質の低下を嘆いていた年度賞ですが、
今年は多少は改善したように思えます。
特に季節や時期が限定された作品が多く、
賞を狙うという以前に、
良いチャンスを逃すまいという意識の表れだと思います。
会員全員がそういう思いのもと、
技術と感性の向上を図り、
会の趣旨でもある
新たな鉄道写真を目指していければと思っています。




最優秀賞
 「夏の思い出」 山川健一

01山川健一.jpg

合成かと思うほど、まさに絵に描いたような作品で
完璧な仕上がりです。
狙ってもそう簡単には撮れるものではありません。
風の悪影響も受けることなく、
花火の広がりも大きく迫力も満点です。
ただただ素晴らしいという以外ありません。




第一席
Drop light」 森元容梨子

02森元容梨子.jpg

車両に日が射し込んだ情景を見つけたとき、
ただ写すだけではなくローキーに表現したことで、
スナップと言うよりも広告写真のような作品になっています。
何気ないシーンも見逃さず、
瞬間に撮りたい絵を思い描ける
想像力の豊かさのおかげでしたね。




第二席
」 木村正一

03木村正一.jpg

適切なシャッタースピードを探し当て、
堰を流れ落ちる水のようすを造形美として捉えた秀作です。
川の風景写真とするのではなく、
列車をボカしてイメージ写真とした発想が正解でした。
鳥がいてくれたのも席次を高めた大きな要因です。




第三席
春宵」 窪田稔

04窪田稔.jpg

こちらの作品も通常なら列車にピントを合わせたいところですが、
あえて主題を桜にしたところがポイントです。
しかもホワイトバランスも好みの色合いになるよう、
撮影時から設定していることも絵づくりの能力の高さですね。




第四席
三ツ目ばく進」 市川健一郎

05市川健一郎.jpg

電化区間というのは非電化区間に比べると
人工物などの邪魔ものが多く、
なかなかすっきりと撮ることができないのですが、
時間帯と巧みな露出ワークでそれらを一気に消し去りました。
列車のライトの数も計算に入れている点も脱帽です。




第五席
去りゆく秋」 寺倉篤史

06寺倉篤史.jpg

季節と天気、そして時間帯の三拍子が揃わないと
撮れない一枚ですね。
タンク車の形状と反射も良いのですが、
更に作品性を高めて上を目指すのであれば、
車両に対する想いを少し減らし、
ここはススキにピントを合わせるべきでした。


posted by CPCれいるうぇいず at 15:21| 日記

2019年秋撮影会 「ひたちなか海浜鉄道・真岡鐵道」


2019年秋撮影会
 「ひたちなか海浜鉄道・真岡鐵道
5月23日(土)、24日(日)


総評:山崎 友也

2日間とも大雨で、撮影条件としては最悪でした。
ただ、何度も言っているように、
このような状況の方が秀作が生まれやすく、
かつ個性が出やすいものです。
今回もその理論が証明されたと思います。

雨ならではの光景、
雨でなければ撮れないカットが目を惹き、
やはりそのどれもが個性的で優れていました。






第一席 「ほの暗い道の先に
固山 敏行

01固山敏行.jpg

雨で濡れてしっとりとした植物に覆われた、
トンネルのような細い路。
その先にふと顔を覗かせる踏切を通過していくツートン列車。
構図も露出もシャッターチャンスも列車の大きさも、
すべてが計算尽くされて撮られた傑作で、見事のひと言です。





第二席 「熱情
西住 美穂

02西住美穂.jpg

鮮烈ともいえる赤色で覆われ、
列車が走っている動感もあり、
作品としてはこちらが最もインパクトがありました。
WBや構図などには多くの問題点がありますが、
「写真」ではなく「作品」という面で、
技術や理論ではなく感性で撮られた、
素晴らしい一枚だと思います。





第三席 「雨の日の憂鬱
野村 一也

03野村一也.jpg

「列車に乗っている人のゆううつさが出るイメージで」
というコメントがありましたが、それを知らずとも、
そのような意図が伝わってきます。
色合いもそうですし、
紙にもこだわってプリントアウトしたあたりに、
作者の表現者としての意志を感じます。






第四席 「雨あがりのひととき
村田 秀人

04村田秀人.jpg

雨粒にまとわれたセイタカワダチソウが、
宵の頃の独特の雰囲気のなかでたたずんでいます。
ただしメインとなっている草の先端が切れているのが残念です。
その奥を走る列車の赤いテールランプが
色の対比となり非常に印象的なだけに、惜しかったです。





第五席 「色彩モノクローム
寺倉 篤史


05寺倉篤史.jpg

ホームに溜まった水たまりに、
駅員が映り込んだシーンをうまく捉えました。
作者は作品として写真の天地を逆さまにしていますが、
むしろ個人的には撮った状態のままの方が良かったと思います。
足の切り方なども絶妙だっただけに、もったいない限りです。




posted by CPCれいるうぇいず at 15:07| 日記