2020年秋リモート撮影会
「テーマ・美」
10月11日(土)
総評:山崎 友也
「美」という意識は
みなさんそれぞれで違うでしょうし、
鉄道を介してというと、まさにそれは千差万別。
ということは、写っている美しさではなく、
個々がそう思ったことをどのように表現するかということがポイントでした。
つまりそこには単なる思いだけではなく、
構図、露出、ピント、レンズワークなど写真の基礎的な技術が、
撮り手の感性とマッチしないと厳しかったかと思います。
第一席 「滅びの美学」
固山 敏行
草木に覆われて朽ち滅んでいく車両の姿を
「美」と捉えたセンスは、なかなかのものです。
しかもあえてモノクロにすることによって、
色に左右されずに
その状況がストレートに伝わってきます。
時間的な流れや自然の摂理など、
さまざまな要素も垣間見られる秀作です。
第二席 「ビーナスライン」
福田光昭
写っている車両を
ビーナスに見立ててのタイトルでしょうか。
確かに画面左側の、
ホームの蛍光灯を反射した曲線が、
どことなく女性らしさを感じさせます。
そのハイライトがこの作品のキーになっているので、
画面右上にあるホームの蛍光灯は、
入れない方が良かったでしょう。
第三席 「質感」
森元容梨子
やや露出を切りつめて
モノトーンの表現にしたことと、
なによりも、この切り取り方が絶妙でしたね。
画面の上部にわずかにハイライトを入れることで、
旧型客車の雰囲気が出ています。
おかげでモケットの肌触り良さそうな質感や
立体感が見事に表現されています。
第四席 「造形美」
片岡直之
写真は撮りたいものを画面に加えていくのではなく、
削っていくものです。
それに則ったこちらの作品も、
構図力がものを言いました。
また車両外観は金属やガラスなどで冷たく写ってしまいますが、
赤い車両の色やランプのおかげで硬いイメージが和らぎ、
「美」を意識させてくれました。